生体栄養学分野の研究

宇宙生物学研究と機能性宇宙食開発へ再挑戦

 MyoLab宇宙実験の成果を論文に発表したことより、もう一度宇宙生物学研究に再挑戦するチャンスを得た。無重力による筋萎縮におけるミトコンドリアの新規機能を解明して、Big Journalに採択されるよう頑張っていきたい。

 一方、上記研究の応用編として、ミトコンドリア機能異常の改善を目指した抗筋萎縮・宇宙食の開発を行う。

 このWebサイトを介して、私のグループの研究方針や夢を報告したい。

1.二川グループ

2.中尾グループ

3.真板グループ

4.内田グループ

ミトコンドリアは、生体における最も重要な小器官の一つです。その主要な役割は好気的酸化を通して細胞にATPを供給することですが、同時にその過程で副産物として酸化ストレスも産生されます。また、ミトコンドリアはその名前が示す通り(ミトはギリシャ語で糸を示す)糸状の細長い形状を取っていますが(※図・左下)、ストレスが加わることでミトコンドリアが障害されると分裂が起こり、短く断片化したミトコンドリアが多くなります(※図・右下)。分裂したミトコンドリアは他のミトコンドリアと融合することで機能を回復するか、分解(Mitophagy)されます。そのため、ミトコンドリアの形態と生理的状態は深い関連性があり、実際に癌や糖尿病など様々な疾患において、ミトコンドリアの分裂亢進が起こっていたとの報告があります。我々のグループでは、無重力環境・微小重力環境において、ミトコンドリアの分裂が亢進することでエネルギー代謝が乱れ、それが筋萎縮を引き起こす一端を担っていることを明らかにしました。現在はミトコンドリアの中でも無重力環境で特に影響を受ける酵素や、その他の細胞小器官との連関による影響を解析しています。これらの結果を基に、最終的には細胞が重力を感知するメカニズム(メカノバイオロジー)の解明を行っていきます。